トリミングをされる犬の気持ち

家族と離れて
初めて来た場所で
初めて会った人に
体中を触られる。濡らされる。
見たことのない道具を体に当てられる。

私たちが突然知らない国に連れていかれて
テーブルの上に見たことのない機材があってそこに乗せられる。
言葉が通じない外国で、自分よりずっと大きな人に
体を触られたら、どんな思いをするでしょうか。
嗅いだことのない臭いのものを体に付けられたら
見たことのない形のものを体に当てられたら
どんな思いをするでしょうか。
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常連さんのモカちゃんは、とってもお利口さんですがお風呂はちょっと苦手☆
モカちゃんのいつもしたい姿勢を理解しているので、モカちゃんに合わせて優しくシャンプーします♪

私たちはバリカンを見て、音が出ても振動しても、それが毛を刈る道具だと理解しているから何とも思いません。
ドライヤーから大きな音がしても、熱い風が出ても
シャワーで体を濡らされても、シャワーの音や水圧を感じても
それが何のためのものなのかを理解しているから恐怖は覚えません。
たとえ、好きな事ではなくても、それが必要なことで、どれくらい我慢すればよいのかを理解しているから、それほど辛いとは思いません。
私たちはそれを当然として、犬にも「大丈夫よ」と押し付けてしまいがちです。

慣れない犬はシャワーからお湯が出ただけでも飛び上がるほど驚いたり、
シャンプーの泡を体に塗られて目を見開いて硬直したり、
ドライヤーの風に戦いを挑んだり、
ハサミの開閉の音にさえ体を震わせることもあります。
犬は何のためにシャワーを当てられるのか、ドライヤーを当てられるのか、爪を切られるのか・・・
なぜトリミングをされるのかを考えることはできません。
言葉が通じないので、どんな感触で、どのくらい我慢すればよいのか、健康のためにしなくてはならないことだということを伝えることはできません。

「犬にトリミングを理解させる」ということは、「慣れる」ということでしかありません。
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ベテランのショコラちゃんは余裕の表情でトリミング♬
足先は少し敏感ですが、無理に引かずにショコちゃんの動きについていきながら、関節に負担にならないように補ていをします☆

sweet dog’sでは、仔犬のうちはできるだけ回数を重ねること、成犬になっても犬の状態に合わせて1・2ヶ月以内(理想は2~3週間以内)のご利用をお勧めしている最大の理由はそのためです。
トリミングが必要な犬種や、ご自宅でケアが難しい犬は、必ずトリミングサロンを利用することになると思います。
年に数回しかサロンを利用しない犬と、こまめにサロンを利用する犬とでは、精神状態が全く違うことを飼い主様にご理解頂きたいと切に思います。

一生トリミングが必要な犬種は、まめにトリミングを受けさせて、どんなことをされるのかを理解させることが生涯にわたってのストレス軽減につながります。
サロンオーナーである私が言うと、商売っ気満々に受け取られそうですが(*´ェ`*)
沢山の犬と向き合うトリマーの本音です。

お家で清潔に保ってあげれるのならば、信頼関係のできている家族にケアをしてもらえることも、犬にとって素晴らしい事だと思います。
ただ、いつもはお家シャンプーで、たまにトリミングサロンを利用する場合は犬に大変なストレスを与えることを解ってあげてほしいです。
犬の表情・呼吸数・緊張の度合いや被毛の状態を見たときに、お家でのケアをしてきた犬は、時々サロンを利用するよりも、ずっとお家でケアをしてあげた方が良いのではと感じることが多いです。

できるだけお家でシャンプーをしたいワンちゃんはお家でのケアを継続してあげて、お家ケアの難しい爪切りや耳掃除などの部分ケアのみを動物病院やサロンで行う方が、犬にとって良い場合があります。
毛玉になった時だけ、抜け毛の多い季節だけ、サマーカットの時だけトリミングサロンを利用する犬の様子を知る私たちは、数時間耐える犬の気持ちを思うと、トリミングさせて頂くことを心から喜ぶことができません。

ずっと家でシャンプーをしていた犬が、突然サロンに預けられた時は、「殺されるのかもしれない」と思うほどの恐怖を体験させるといっても大げさではないかもしれません。
何をされるのかを理解していない・サロン経験を積んでいない犬にとって、トリミングテーブルとトリミング道具はまな板と包丁と同じことです。
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いつもお家に帰りたくてしょうがない、甘えんぼミルク君★
皮膚トラブルが起きやすいので、刺激にならないようにドライヤーとの距離やブラシの当て方も注意して行います♪
お耳のブローも風が耳の中に直撃しないようにして、ミルク君の気持ちよさそうな表情もチェック(*´ω`*)

慣れないことを犬にする時、固まって大人しい犬は「お利口」というより怯えて動けないのかもしれません。
暴れる犬は「おバカ」なのではなく怖くて逃げださずにはいられないのかもしれません。
突然咬みついたり唸る時には、「凶暴な犬」なのではなく、恐怖から自分を守るために必死なのかもしれません。
吠え続けてしまう時は「わがままな要求吠え」ではなく、不安のあまりにパニックになっているのかもしれません。
舌をへらへらと出して笑っているように見える時も、緊張のために呼吸数が増えているため、はたから見ると嬉しそうに見えてしまう時もあります。
sweet dog’sではそのような犬の状態を最初から決めつけ問題視するのではなく、回数を重ねる度にその犬の個性や様子を理解し、どんな時にどんな様子を見せるのか観察し、様子の変化を見ながらトリミングをすることを大切にしています。

私たちには、犬の行動学を学び、日々たくさんのお客様に育てて頂いたトリマーとしてのノウハウがあります。
もちろん慣れていない犬も、よほどのことがなければ施術することはできますし、最善を尽くします。
でも、年に1・2度しかサロン経験のない犬や、成犬になってからサロン初体験の犬は、どんなに大切に施術しても恐怖心を取り除いてあげることは簡単ではありません。
トリミングの出来上がりではなく、トリミング中の犬の気持ちを重視してあげたいです。

お金を払ってくださるお客様のご要望と、向き合う犬の気持ちとの間で、私たちの考えを伝えるべきか、伝えずに見過ごすべきかと6年間葛藤してきました。
お客様に嫌な印象を与えるくらいなら、気持ちに蓋をして仕事をこなす方がずっと楽に仕事ができるかもしれないし、利益を上げられるかもしれません。

でも私たちは、生涯必要とする皮膚被毛のケアの負担を軽減することで、犬の小さな幸せに繋がったらと願いながらトリミングを行っています。
数時間その犬を観察し、左手で常に犬を感じながら右手でトリミングを行います。
今日トリミングさせて頂いた犬が、次に来てくれた時にはもっと負担を軽減できるようにと、犬の癖や様子を観察して記録し続けています。
沢山の犬を知っているトリマーだからこそ感じる犬の思いを伝えることで、sweet dog’sの理想である犬の立場に立ったトリミングを実現していきたいです。

生涯付き合っていかなければならない皮膚被毛の手入れが、少しでも負担にならないように。
動物である犬の習性や犬種の特徴、犬の見せる様子を理解できるように努め、感じたことをお客様にお伝えしてまいります。

人の幸せも幸せ。
犬の幸せも幸せ。

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